「石を投げれば俳人に当たるまち」。松山にはその土壌があります。

  • 田中泥炭さん

現在、どのような活動をしていますか。

俳句を詠んだり、句会に参加したりと俳人として活動をしています。きっかけは、松山市役所の職員として数年間、俳句甲子園を担当したことでした。そのご縁で句会に参加する機会があり、やってみたら楽しくて、だんだんと俳句にのめりこんでいきました。
俳句は近所を散歩しているときに生まれることが多くて、例えば「風が気持ちいいな」って思ったときに、なぜこんなに気持ちいいのだろうってことを突き詰めて考えるので、自分を深く見つめた作品が多いですね。
これからも俳句甲子園に協力したり、機会があれば子どもに教えたりして、俳句で誰かに貢献していきたいです。

松山ってどんなまちですか?

俳人として言うなら、「石を投げれば俳人に当たるまち」。小学生の子どもも学校で俳句を作る機会があるように、俳句をたしなんだことのある人がほとんどだと思います。正岡子規、高浜虚子などたくさんの俳人を生んだまちで、現在も夏井いつきさんが俳句の普及に尽力されていますので、松山は、俳句に最も近しい場所だと思います。
市民として言うと「コンパクトシティ」ですね。ほどよく街で、ほどよく田舎で、松山城や道後温泉などもある。気候が穏やかで、暮らしやすいです。自然との距離も近く、海・山・川があり、草花も豊かです。

松山でお気に入りの場所はありますか?

俳句を作るために、松山城や三津浜へ行くことは多いですね。俳句をしていると、城壁の穴をじっとのぞいてみたり、普段とは違う目線になってものの見方が変わるので、いつもと同じ景色でも、毎回新しい発見があります。あとは夜のまちも結構楽しいですね。お酒を飲んだ帰りに二番町や三番町の普段通らない小路などに入ると、今までとは違うまちの顔に出会えて楽しくなります。

松山での暮らし、幸せ度は何点ですか?

俳人としては50点。幸せになりきってしまったら、創作として終わってしまう気がするので、ずっと100点と50点を行き来しているような感じです。生みの苦しみがあり、その中に満足できる瞬間もある。そういった状況が幸せなんだと思います。
松山市民としては、100パーセント幸せですと言えます。家族がいて、穏やかな気候の中で平和に暮らしていけていることが何より幸せです。

子どもたちに伝えたいことはありますか?

子どもたちには「自由に生きてほしい」です。学校生活でも、社会人になっても、いいときもあれば悪いときもある。そんなとき、一つの価値観だと大変ですが、家庭や学校、仕事などとは別のコミュニティがあると、自分自身の物差しをもう一つ持てることになると思うんです。なので、学校の勉強を頑張りつつ、俳句も含め芸術に触れることも楽しんでほしいです。

ありがとうございました。