
現在、どのような仕事をしていますか。
明治28年(1895)に創業した「水口酒造」の6代目蔵元です。道後唯一の造り酒屋として、清酒をはじめビール、リキュールなど、さまざまなお酒を造っています。
学生時代は家業に興味がなく、大学進学を機に東京へ出て、卒業後はシステム開発の仕事をしていました。社会人になってから、道後という立地で造り酒屋をしているうちの会社って面白いんじゃないかと考えるようになり、水口酒造を残したいとの思いから、31歳の時に家族でUターンしました。
当社は「道後から世界へ、世界から道後へ」というビジョンを掲げています。よく「お酒は人と人をつなぐ」と言いますが、道後にありながら海外へも日本酒を展開していますので、私たちのお酒の力で道後へ人を呼び込み、人生のうち一回でもいいから道後に来てもらえたらと思っています。
松山の魅力を教えてください。
松山は、県庁所在地でありながら観光都市でもあり、空港も近くて移動もしやすいまちだと思います。個人的には伊佐爾波神社が好きです。下から見上げる社殿も荘厳ですし、上からの景色も素晴らしく、夕日もとても奇麗です。
松山は、来てくれた人を温かく迎えてくれるまちで、みんな優しいので住みよいまちだと思います。横浜出身の妻も、引っ越してきた当初は田舎という印象があったようですが、今はもう「松山にしか住めない」と言っています。食べ物もおいしいし、物価も比較的安い。愛媛って柑橘王国と言われていますが、個人的にはフルーツ王国だと思うくらいなんでもあって、うちの子どももフルーツが大好きです。
今後どのような取り組みをしていきたいですか。
個人的には200年会社を残すという目標があります。子どもに継いでほしいとは言いませんが、戻ってきたいと思える会社にはしておきたいです。まちも「帰ってきたくなる」場所であり続ける必要があると思います。過疎化が進んでしまう可能性はありますが、150、200年と住みよいまちでいられるよう、今を生きる私たちにできることを考え、行動していかなければと感じています。
子どもたちに伝えたいことはありますか。
出前授業やコラボ企画などでよく出会う大学生には「ひたすら遊びなさい」って言っています。たとえば海外へ行くと、ほとんどの人は日本の良さを実感して帰ってくると思うんです。だからもっと日本が好きになって、地元が好きになる。私も松山に帰ってくる前、妻と世界一周しました。いろんなところを見たことで、「こんな住みやすい国ってないよね」って実感しました。だからとにかく、好きなことでも、ちょっと面白くないなと思うことでも、いろんな経験をして、今後の人生の糧にしてほしいです。
ありがとうございました。
「帰ってきたくなるまち」を残したいです。