現在取り組んでいる活動について教えてください。
NPO法人「森からつづく道」を運営し、松山市を拠点に自然や生物の保全を目的とした調査研究や環境活動に力を入れています。具体的には、生物多様性などを学ぶサイエンスカフェの開催や、北条地域のため池に生息する国内希少種・オオキトンボの保全活動などを行っています。オオキトンボが生き続けられる環境を維持することは、他の多くの生きものが共に生息できる環境を守ることにもつながります。そうした視点を大切にしながら、地域全体の自然環境の保全に取り組んでいます。
また、日浦地区のヒメユリの保全活動にも携わっていて、地域のNPOと連携しながら、里地の自然を体験できるようなエコツアーも企画し「訪ねたくなる水源の里づくり」を目指しています。
日浦地区で「訪ねたくなる水源の里」を目指し、
ミツマタを植樹しています
自然との関わりが深まったきっかけは?
以前、東京で働いていた時期があったのですが、Uターンした時に「自分は地域のことをほとんど知らない」という事実に気付きました。そんなときに、石鎚山に登る機会があり、山の姿やそこに息づく自然に強く心を引かれました。
一度外に出たからこそ、地元の自然の豊かさや価値を改めて実感できたのだと思います。そこから生きものや生物多様性について学び始め、現在の活動へとつながっていきました。
黒河さんが感じる、松山の魅力とは?
海・川・山へのアクセスが良く、松山城や道後公園、総合公園など、日常の中で季節の移ろいや生きものに出会える場所がたくさんあることは大きな魅力だと思います。
また、松山には物事をじっくり受け止め、時間をかけて醸成していく懐の深さがあると感じています。アートや文化など、さまざまな分野で市民発信の活動が広がっているので、何か気になる活動や興味のあることに参加してみたら、人生が豊かになっていくのではないかと思います。
松山でお気に入りの場所を教えてください。
高縄山は特に好きな場所です。針葉樹の人工林を抜けると、表情豊かな広葉樹の森が広がり、木の種類や山野草の多さに驚かされます。何度行ってもその時に出合う動植物の姿に新たな発見があります。車で山頂付近まで行けるように整備されています。
子どもたちへのメッセージをお願いします。
子どもたちには、ぜひ身近な自然に出かけ、季節の変化や生きものに目を向けてほしいと思います。「来年もこの花は咲くかな」「この生きものはどこへ行ったんだろう」といった小さな疑問や関心が、自然を大切にする気持ちにつながっていきます。生きものに強い関心を持つのは幼少期が多いですが、そのときの体験は、大人になってからもふとした瞬間によみがえります。だからこそ私たちは諦めることなく、自然に触れるきっかけづくりを続けていきたいと考えています。
北条地域でのオオキトンボの産卵観察会の様子
ありがとうございました。
自然と人がゆるやかにつながり、豊さが生まれるまちです。